オルガニスト

オルガニスト

オルガニスト

技巧のみで音を奏でたとしても聞き手には「音楽」として受け取られないとするならば、表現力のみで音を奏でた場合にはそれは「音楽」として届くことができるのだろうか。
技巧と表現力を以てして「音楽」というのであれば、豊かな表現力、至高の技巧を持つ者が奏でる音は最高の「音楽」なのだろう。ただし生物であった場合として。
例えばの話、それを奏でることができるのが「機械」だったとするなら、開発者としての技巧は至高のものとして認められるけれど、奏者としての技巧は多分認められることは少ないのかと思う。
音楽はその時に聴こえる音のみが全てなはずなのに、私みたいに画蛇添足で音を聴いていること自体が純粋な「音楽」を妨げることになっているんだろうか、とこの本を読んでいて思った。
「音楽」は結局奏者と聴衆の感情の融合で生まれるものなんだね。
読み手のアプローチ次第では全く異なる感想を持つんだろうなと思う1冊だった。私はすごく読んでいて楽しかった。